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通常レストランでは物販の小売店さんとは違った価格設定の仕方をしています。
例えば酒屋さんやコンビニなど小売店ではまず販売価格があらかじめ設定されていてそれに対して仕入れ値が何%(商品によって違いますが50〜70%くらいでしょうか)という具合に店舗による販売価格の違いはそれほど大きくなく利益率も低めです。仕入れた商品をそのままの形で販売するいわゆる流通の末端としての機能を担っての業態なのですが、レストランはその業態そのものが違うわけです。1
仕入れた食材に手を加えてその店独自の商品に仕上げてお客様に提供する、原価率で20%〜40%くらいでしょうか物販の店舗と違うのはそこにさらに調理に掛かる経費(人件費、調理に掛かる光熱費等)が経常されます。
私たちの感覚で採算の取れる原価率は35%ぐらいまでです、単純に仕入れたものに対して3〜4倍して売ると採算が取れるそんな感覚があります。
ここからが本題ですがたいていのレストランでは悲しいことに飲物にまでこの価格設定をしてしまっています。確かにサービスするためのコストも掛かりますしカクテルなどは作り手によっておいしさが違ってしまうものです。ソムリエ免許をとるには随分努力も投資も必要でしょう。
しかしワインは作り手さんが作るものです、私たちは仕入れ開栓するだけです。
特別な技術はなくても努力すれば価値のあるワインは仕入れることができます。
色々な条件を加味しても料理と同じ掛け率で(3〜4倍これが現状です)このようなワインなどを提供するのはいき過ぎと私は思います。
お客様との信頼関係は大切です。そのような場合仕組みを明らかにしつつ提供するべきではないでしょうか。
ワインの提供やチョイスに特別な配慮コストをかけているならそのことを知らせつつ、素晴らしいマリアージュを体験していただく、高いレベルでサーヴすることで料金も高くいただくわけですからそう表明すればいいと思います。
グレーゾーンで好き勝手に値段をつけてお客様をがっかりさせれば信用を失い折角おいしい料理を出す評判の店でもワインを楽しもうという気持ちが持てなくなってしまう、料理を提供するのと同じプライドを持って公然とするべきと思います。
産地にあって然るべきルートがありその仕入値に対して3から4倍はおそらく問題がないのでしょう。しかし日本でイタリアのワインを提供しているわけですから輸入のコストが当然上乗せされます。これでは実際の価値に対しての値段がかけ離れたものになってしまいます。
料理とのバランスを考えるならばなおさら掛け率は物販に近いものになるでしょう。
当店にはソムリエの資格を持った人はいません。仕入れは地道に試飲会に出掛け自分が本当に満足できるものを仕入れているだけです。ですから開けるコスト、保存のコスト、サービスするコスト、だけを考えて価格設定をしています、
具体的には仕入れ値で1500円程度を境にそこまでは220%程度それ以上の仕入れ価格の物は値段が上がるほど利益率を落とすように計算式を作って価格設定しています。2
飲み物食べ物のバランスを考えレストランとして必要な利益を確保するべく私の経営者としての感覚、運営上実質的なところでの結論です。
当店で扱っている有名なワインでぜひ他店と比較してみてください、高額なワインになるほどその値段の差に驚かれることでしょう、
ワインは作り手さんが作るものです。私達が作ったかのような値段設定をするのはいかがなものでしょう。本当にレストランはワインの価格に関しては信用がないようです。私達も正直売っていてストレスがあります。もっと楽しんでほしい決して高くないから自由に選んで注文してほしいと心の中で叫んでしまいます。
ワインはいい料理があってその価値を何倍にも高めるものです、ですから是非レストランでいいワインに出会ってほしい。
その感動は代え難い素晴らしい食の体験をもたらすはずです。
当店で聞かせていただく「嬉しい声」の内容はこのワインに関してのことが多いです。
何度も来ていただいたお客様で、「注文するワイン全部が当りだ」と誉めていただいたことがあります。じつはそれは他店ではワインリストのもっと下にあったものが選べる範囲にあったということで、実は当たり前に享受できるチョイスだった訳です、本当に
テーブルワインが3000円も4000円もするなんてどうかと思います。
このような試みは色々な現場で始まりつつあるようです。
インポーターさんの情報ですが他にも当店のような価格設定をする店舗は増えているようです、このような設定が当たり前になってほしいものです、グレーなところで自分たちの信頼を落としてしまっていた訳です。
3このような主張をすると甘いとかきれい事を言っているとお叱りを受けそうですが、しかしこれはもちろんきれい事ではありません、余りに歪んだ値段体系になっていれば成り立つようにバランスを取り直すことも必要でしょう。
お客様の支持が得られればそれは大変プラスになりますし、伝統料理においてワインはお客様を楽しませることに大変力を発揮するものです。
その力を最大限活用することができれば全体的にはパフォーマンスは高くなると私は思います。
そもそもレストランの業態は水商売とは一線を画するものです。消費者がいくらなら買うかということだけで価格設定するのではなく、生産業の一面を持った業態ですから、食材の仕入れ値を基本に生産性、独自性といったことを加味して価格設定していく必要があります。ワインに関してはこの独自性は低く、提供するまでの手間も少ない、価格も自ずと決まるわけです。

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